手しごとの美しさとやさしさ

お彼岸が近いので、森川さんの手桶を購入しました。

杉の赤身で作り上げられた桶は見た目が美しく、また手触りも良く、程よい油分もあって生活民具としてはもはや工芸品のようです。

桶を形成するR(湾曲具合)は専用の道具で調整し、板と板の間には竹で作った釘を打ち外れにくくなっています。それを森川さんが手で編んだ番線で締め上げて強度をつけます。

とっても専用のカンナで削り、手に馴染むよう優しく作られています。

2、3時間でできるものではなく、材料と対話しながら、道具を駆使して一つ一つ作り上げるのです。

森川さんにはお弟子さんがいらっしゃいませんので、この仕事も消えゆく運命にあります。

私たちはIT機器を使いこなしながら、生活を便利で豊かなものにしています。

その一方で、このような手仕事品に触れることにより、急ぎすぎる時間を止めて自分自身の心持ちを落ち着けることができます。

昨今の民藝ブームもこの精神性からくるものなのでしょうか。

墓参りが義務的な儀式にならないよう、道具から気付かせてもらっているような気がします。

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