前回万祝展のご紹介をさせていただきましたが、もう一つ。
ぼくは子供の頃、北土舎となっているこのおばの家に泊まるのが大好きで、特に寝る時に上掛けとして使うかいまきがお気に入りでした。(このかいまきは万祝ではなかった)
袖を通して寝る訳ではないのに立派な袖があり、大きくて温かくて包まれているかのような安心感。
自宅には無かったので、親にお願いしてかいまきを手に入れた時の嬉しさと言ったら!
時代を経て北土舎を始め、ある時この建物の倉庫にあった茶箱を開けると、そこに万祝のかいまきが!
この時の感動は忘れられません。
この家の家系に漁業関係者はおらず、きっといただきものか何かの万祝に綿を詰めて防寒着代わりにしたのでしょう。
首周りから襟にかけて当て布をしています。
最初は祝い着、時間が経つと綿を詰めて防寒着とし、最後は赤ん坊のおむつや雑巾に使われたという。
万祝は正に庶民の生活と共にあったのです。
万祝が庶民の生活面を語る生き証人たる所以です。
8月10日(土)には南房総市の白浜海洋美術館にて万祝の鑑賞会が開催されます(要事前予約)。
ここは日本における万祝展示の総本山でしょう。行政ではなく、一個人の蒐集が千葉県民のアイデンティティを救ってくださっています。
この美術館を強烈におすすめいたします。
これらのイベントを北土舎でもサポートしたいと思います。